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少女病



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少女病

rectitude

「過去にあった事故の後遺症から、
余命幾許もない女性。
目の見えない彼女が
唯一自由に出步ける廣い庭園。
いつものように木々の聲に耳を傾けていると、
輕やかな青年の歌聲が耳に飛び越んできた。
彼は幾つもの國を旅する旅人で、
森から繫がるこの庭園に
迷い迂んでしまったのだという」

「ごきげんよう、美しいお孃さん。
よろしければ、このまま續けても構いませんか?」

靜かな庭園 その中だけが彼女の
想像の及ぶ とても小さな鳥籠のよう
目の見えぬイヴ 夢見るのは 遠い外の世界
たった一步が踏み出せない
恐怖が消せずに……

「もし君が心晴れるというなら、
いくらでも求むままに
旅でみた幾つもの物語 君へと歌うよ」
目的なく旅をしてきたけれど
あどけなく微笑むイヴ
ah... 世界巡り君を見つけた。
この出會い運命だと思えるから----

「君に世界を見せよう。時には歌で、時には言葉で。
見えないなんてことはないさ……。
いくらでも描けるだろう?
今、君の頭の中に廣がったもの。それが、世界だ」

彼女の屋敷で、新たな季節迎えて
いつしか二人は 心確かに惹かれあった
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「私のために旅をやめてここにいてくれるの?」
不安隱せず問う彼女に 笑って答える

「もし君が一緒に行くというなら、
もう一度旅するだろう」
でもねほら思うんだ。
ここにきてイヴに出會うため
僕に旅をしてたのかもしれない
だからずっと傍にいて
君のための歌、歌い續けよう。
季節が何度變わっても----
二人に殘されてる時間は多くないと知っても……
閉ざされた庭園で、婚約を誓い支え合った

「けれど、イヴに最期が訪れるのは
あまりにも唐突だった」
「あなたの優しい聲が好き。
柔らかな笑顏で歌ってくれていたのでしょう」

「イヴはそういって、視力をなくしたまま
青年の顏をみることも葉わずに
この世を去ることを嘆いた。
青年はただ落ち迂んだ。
やがて、旅の途中で聞いた物語を思い出す」

「どこかにあるという'死者に會える場所'
そこにいけば、きっともう一度イヴに會える」

「まだ、聞かせたい物語は無數にある。
ずっとずっと、
鄰で寄り添っていても足りないくらいに----」