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美輪明宏



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美輪明宏

群衆

作詞:A.Cabral・M.Rivgauche・E.Dizeo
訳詞:美輪明宏
作曲:A.Cabral・M.Rivgauche・A.Amato

世間は春でも祭でも
私にゃなんでもないのさ
お針子暮しで空しく
ただ歳を取って行くのさ
みにくい女の私でも
今日は楽しい騒(ざわ)めき
祭に華やぐ街並へ
誘われ入って行った

おずおず近より
見回し 躊躇(ためら)い 震えて
思わず立止まれば
私を嘲笑(あざわら)っているよな
踊りに狂いまわる人々
人の波が押し寄せ
私を抱きこみ
踊りの渦巻の中へ
戸惑う私の愚な指を
誰かの手がしっかりと掴んだ

激しく抱かれて見上げれば
明るく笑った眼差(まなざ)し
子供のようにイタズラな
若者の甘い微笑み
見詰めるその人の瞳に
何故か胸がときめき
息も出来ない苦しさに
ただ見返すばかり
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そのうち思わず微笑み
互いに抱き合い
踊りの渦の中へ
初めて知る恋の心に
妖しく乱れる紙吹雪
くるくる廻りながら
見上げる空には
バラ色の雲が輝き
生まれて初めて知る幸福よ
この思いよ 永久(とわ)に 永遠に

その時いきなり押し寄せた
踊りに狂った群衆
悪魔の使いのその波が
彼を奪い連れ去る
揉(も)み合い犇(ひしめ)く人波を
夢中でかきわけ かきわけ
捜せばまたもその波が
彼を奪い連れ去る

人の気持も知らず
騒ぎに騒いで
笑ってさざめく群集
ただ一度の恋の歓びを
与えて またそれを持ち去る
捜し疲れて一人佇む
孤独な夕陽が沈みかける町
涙に霞みながら遠のく
群衆を私は憎むの